江戸の医学書

この度、江戸期の医学書を少しずつ公開していくことにしました。京都大学や早稲田大学の図書館も公開して下さり、私もよく利用しています。もう150年以上昔のものですので、虫食いが有ったりして随分劣化しています。
今のうちにデジタル化して保存をしなければいけないと思います。少しですが私の所蔵品の中に、まだ公開されていないものが有りますので、東洋医学を勉強されている方の役に立てれば良いかなと思い踏み切りました。
このような趣旨ですので営利目的の使用はお断りします。
なお、私のコメントは日本漢方典籍辞典や様々なインターネットサイトを参考にしています。
松蔭医談(マツカゲイダン) 刊本一冊
雨森牛南の著で、寛政十一年に出版されています。平仮名で書かれていますが、民衆向けでなく高度な内容です。
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曲直瀬処方集(マナセショホウシュウ)仮名 写本一冊
曲直瀬一派の未発見の処方集だと思われます。済民記と処方構成が似ています。
内経以外からの引用が、頭痛門と眼目門の二箇所にありますが、そのいずれもが啓迪集と重なります。特に医方選要からの引用は決定的だと思います。
容量の関係で画像を2つに分けています。
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脈訣刊誤(ミャクケツカンゴ) 刊本二巻附録四冊
脈訣刊誤の和刻本は、1632年と1642年だけ出版され、附録も付いているのはとても貴重です。
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薬方分量考 (ヤクホウブンリョウ)正続二巻
岡田静黙の著で傷寒金匱の時代の分量と江戸時代の分量を比較研究したものである。
現代でも生薬の量は、中国は日本より2~5倍多く用いられる。
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瘍醫活談 (ヨウイカツダン)
京都の名医であった高階枳園の口述であるが、写本でしか伝わっていない。これは、森道伯先生の一貫堂に有ったものの様である。
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萬秘伝之抜書(ヨロズヒデンノヌキショ) 写本一冊
萬秘伝之抜書と南蛮外科一流之秘伝書と聞書の三部構成になっています。江戸初期の南蛮外科の膏薬を知るのに良い資料です。聞書には紫金錠などの特効薬が書かれています。
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劉氏活痘方(リュウシカットウホウ) 写本一冊
白水箏山のシ著作で、国書のみ確認されています。
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龍樹菩薩眼論 (リュウジュボサツガンロン) 写本一冊
龍樹は古代インド仏教の中興の祖である。中国の医学は当然インド医学の影響を受けているが、この龍樹菩薩眼論は八世紀ぐらいに中国に伝わったと考えられている。私のものは乾坤の乾だけだが、全体像は良くわからない。
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療治之大概集 (リョウジノタイガイシュウ)上中下一巻
これも明治13年刊行のもので、国会図書館にも存在している。
巻頭に今村亮が序のなかで杉山和一の業績や復刻刊行のいきさつを述べている。
選鍼三要集は漢文であるが、これはカナ混じり文になっている。
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良薬馬療弁解 (リョウヤクバリョウベンカイ)5巻一冊
似山子(じざんし)著の馬医書である。麻布大学のコレクションを見ると、馬に関係するものがほとんどである。馬は戦力であるので当然であろう。