江戸の医学書

この度、江戸期の医学書を少しずつ公開していくことにしました。京都大学や早稲田大学の図書館も公開して下さり、私もよく利用しています。もう150年以上昔のものですので、虫食いが有ったりして随分劣化しています。
今のうちにデジタル化して保存をしなければいけないと思います。少しですが私の所蔵品の中に、まだ公開されていないものが有りますので、東洋医学を勉強されている方の役に立てれば良いかなと思い踏み切りました。
このような趣旨ですので営利目的の使用はお断りします。
なお、私のコメントは日本漢方典籍辞典や様々なインターネットサイトを参考にしています。
医学切要指南 (イガクセツヨウシナン) 後編二巻四冊
岡本一抱の著である。前編は臓腑の生理を、後編は四診の方法を中心に述べている。素問・難経からの引用が多く説得力のある作りになっている。また、たにぐち書店発行・伴尚志先生訳の医学切要指南は前編だけであるので、後編は自力で読んで頂きたい。
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医学天正記 (イガクテンショウキ) 上下一巻
巻末に道三在判となっているが、年代的に玄朔の治験集である。患者には今上皇帝や大名も含まれるので、歴史的価値もある。現代漢方を勉強した者でもなるほどとうならせる内容になっている。
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医範(イハン) 写本一冊
吉益南涯の著で文化十四年に写されています。医範の版本より、八年前の写本です。版本の医範は弟子の校正で、かなり劣化しています。南涯の元の論説を知ることが出来ます。最もコアな気血水弁も書かれています。
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医範(イハン) 版本一冊
文政八年出版の吉益南涯の論説集です。
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医範提綱拾遺(イハンテイコウシュウイ) 写本一冊
宇田川榛斎訳の写本ですが、ほとんど出回っていません。
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医方大政論諺解(イホウタイセイロンゲンカイ)刊本 五巻一冊
岡本一抱の著作の中でもベスト5に入ると思う。私のものは一冊にまとめられ、とても使い勝手が良い。なぜか、後から出た医方大政論和語鈔の方が出回ったみたいで、現在でも入手しやすい。
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医方問餘婦人科(イホウモンヨフジンカ)写本 二巻一冊
名古屋玄医の代表作である。婦人門の他に雑病門・小児門・外科門・眼科門・口科門があり全二十一巻となっている。なぜか写本でしか伝わっていない。
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引痘畧 (イントウリャク)写本一冊
これは1831年に、清の邱浩川(きゅうこうせん)がジェンナーの牛痘論を基に、中国語に翻訳して刊行されたものである。また1847年に、小山肆成は高階枳園から借りた引痘畧を要約して引痘新法全書を出版している。そして1849年に、肆成は日本最初の牛痘苗の実験に成功したと言われる。19世紀前半、ロシアやオランダから牛痘苗の接種技術が伝わり散発的に成功するが、予防接種が全国的に普及したのは19世紀後半になってからである。ご存じのように天然痘は伝染力が強く、致死率も2~3割に達したが、1980年に撲滅した。
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永源寺古写本傷寒論 (エイゲンジコシャボンショウカンロン) 写本一冊
現在の傷寒論は11世紀に編纂されたものだが、唐の貞元元年(785年)の傷寒論が日本に伝わっていたとされるものである。最澄が持ち帰り、延暦寺から永源寺に伝わったとされる。江戸期になって、これを元に康治本傷寒論が刊行された。
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淵々斎夜話(エンエンサイヤワ) 写本一冊
サイズ的に小林餐英 述、寺尾元長 編と思われます。病門が疫から瘰癧まで目次にあり、瘰癧まで書かれているので全一冊としています。