【知っておきたい薬の知識】血を固まりにくくする薬と納豆 スタッフブログ
【知っておきたい薬の知識】血を固まりにくくする薬と納豆
今回は、血を固まりにくくする薬_ワルファリンカリウムと納豆についてお話しします。
心臓に酸素と栄養を送っている冠血管の中で血液の塊、血栓が生成されると心筋梗塞となります。頭の血管では脳梗塞となります。ワルファリンカリウム【商品名:ワーファリン】は、心筋梗塞や脳梗塞の再発を予防する目的あるいは心房細動など、血栓ができないようにする目的の治療で使用されています。
血液の中には、出血した時に血を固まらせる物質、血液凝固因子がいくつかあります。そのなかで、ビタミンKを必要とする凝固因子が存在します。ワルファリンカリウムはこのビタミンKを阻害するので、血液凝固因子の生成が抑制されて血液が固まりにくくなります。薬剤師は「ワーファリンは血を固まりにくくする薬です。」と患者様に服薬指導します(いわゆる、血液をサラサラにする薬)。
さらに、「ビタミンKを多く含む食品、納豆や青汁などを飲食しますと、ワーファリンの効果が弱くなりますので、飲食しないようにしてください。」と注意を促しています。
一方、「血液をサラサラにする薬」には、ワルファリンカリウム以外にも多くの薬があります。たとえば、アスピリン【商品名:バイアスピリン、バファリン81mg】、チクロピジン【商品名:パナルジン】、クロピドグレル【商品名:ブラピックス】などがあります。
これらの薬は、抗血症板薬に分類されており、血液中の血小板の働きを抑えて「かさぶた」が生成しないようにします。ワルファリンカリウムのように、ビタミンKを阻害する働きはありませんので、ビタミンKを含む食品や医薬品について気をつける心配がありません。
私が病院薬剤師をしている時、入院していたGさんの奥様とお話しした際、Gさんは心筋梗塞後の再発予防にパナルジンを服用されており、「血液をサラサラにする薬」は「納豆、青汁などの緑黄色野菜は食べてはいけない」と思い込み、この2年間、緑黄色野菜を食べていませんでしたと伺いました。
詳しく尋ねると、今回入院する前の病院に受診している時、待合室で、心筋梗塞の患者さんから、「血液をサラサラにする薬」は、「納豆、青汁などの緑黄色野菜は食べてはいけない」と情報を得たようです。
患者さんにとって、効き目が「血液をサラサラにする薬」であれば、作用の全く異なる薬であっても(ワルファリンカリウムやパナルジンなど)、飲み合わせなどの注意事項も同じだと思ってしまうようですね。
緑黄色野菜にはビタミンKが含まれていますが、通常量の緑黄色野菜はワルファリンカリウムと一緒に食べても大丈夫です。