元旦の朝にまずいただくお酒◆お屠蘇(とそ)◆ 本みりんを使っておいしく スタッフブログ
◆お屠蘇◆ 本みりんを使っておいしく
年明け元旦の朝にまずいただくお酒といえばお屠蘇。
酒やみりんに生薬を漬けた 一種の薬草酒で、邪気を払い無病長寿を祈るお酒です。
美味しい清酒と本みりんで、我が家のお屠蘇を作りましょう。
お屠蘇について
お屠蘇とは
「お屠蘇」とは、酒やみりんで生薬を浸け込んだ一種の薬草酒。正式には屠蘇延命散と言います。
「屠蘇」と難しい漢字を書きますが、これにも意味があります。ひとつに「屠」は「屠(ほふ)る」、「蘇」は「病をもたらす鬼」という意味で、すなわち鬼退治。あるいは「屠」は「邪気を払う」、「蘇」は「魂を目覚め蘇らせる」という意味にとるなど、微妙に違う解釈がいくつかあるようです。
いずれにしても邪気を払い無病長寿を祈り、心身ともに改まろう、という願いを込めていただく、お正月ならではのセレモニー酒です。
お正月にお屠蘇を飲む習慣は中国で始まったと言われています。これも諸説ありますが、三国時代の魏の名医・華蛇(かだ)が考案したという説が有力。唐代に仙人が考案したのだ、という説もあります(仙人の住んでいた洞窟が「屠蘇庵」というので「屠蘇」という)。
いずれにしても日本には平安時代に伝わり、嵯峨天皇の頃に宮中の正月行事として始められ、江戸時代には一般に広まりました。
屠蘇散の中身
「屠蘇散」の中身は、いわゆる漢方薬に使われる生薬。多くて10種類、市販されている屠蘇散には、一般的に5・6種類が配合されています。調合はそれぞれ微妙に異なりますが、代表的な生薬と、その効能には次のようなものがあるようです。
白朮(ビャクジュツ) キク科オケラまたはオオバナオケラの根 |
利尿作用、健胃作用、鎮静作用 |
山椒(サンショウ) サンショウの実 |
健胃作用、抗菌作用 |
桔梗(キキョウ) キキョウの根 |
鎮咳去啖作用、鎮静・沈痛作用 |
肉桂(ニッケイ) ニッケイの樹皮、シナモン |
健胃作用、発汗・解熱作用、鎮静・鎮痙作用 |
防風(ボウフウ) セリ科ボウフウの根 |
発汗・解熱作用、抗炎症作用 |
こうしてみると、胃腸の働きを盛んにし、血行をよくし、風邪を引かないようにする生薬が含まれているようです。当然、酒やみりんにはブドウ糖や必須アミノ酸、ビタミン類も含まれており、さらにアルコールが血行を促進させます。
無病長寿を願って飲むだけあって、さすが、の中身。とは言っても、元旦の朝に一口飲むくらいでは、キキメはほとんどないそうですが。
お屠蘇の作法
地域や家庭によって異なりますが、屠蘇をいただくときの伝統的な作法を描写すると、だいたい次のようになります。
◆ お屠蘇の準備 ◆
大晦日の晩に、屠蘇散が入った袋を井戸の内側に吊るしておきます。この袋は、三角形に縫った赤い絹の袋です。一晩吊り下げられた屠蘇散は、元旦の早朝に取り出して、酒もしくはみりんに浸します。
◆ お屠蘇を飲む ◆
元旦の朝、若水(元旦の早朝に汲んだ水)で身を浄め、初日や神棚、仏壇などを拝んだあと、家族全員そろって新年の挨拶を。そうして、雑煮やおせち料理をいただく前に、お屠蘇を飲みます。そのとき使われる酒器は、朱塗りまたは白銀や錫などのお銚子と、朱塗りの三段重ねの盃とあいなりましょう。
お屠蘇をいただくときには、一家揃って東の方角を向きます。たいていの宴席では、年長者から盃を下げていきますが、このお屠蘇ばかりは逆。年少者から年長者へと盃を順にすすめます。若者の精気を年長者に渡すという意味合いが含まれているのだとか。
飲むときには「一人これを飲めば一家くるしみなく、一家これを飲めば一里病なし」と唱えます。
◆ その後のお屠蘇 ◆
お屠蘇はなにも元旦の朝、家族だけで飲んですます必要はありません。正月三カ日の来客には、まず、初献にお屠蘇をすすめて新年のお祝いの挨拶を交わすのが礼儀とされています。
そして、松の内が過ぎたら袋の中の薬滓を、元の井戸の中に投げ入れる。この井戸水を飲めば一代の間、無病でいられるとされたそうです。
保険部 田中